青い鳥を造ってあげる
「はぁ〜・・・きもちー」
「おい、目ェ閉じてねェとシャンプー入るぞ。」

お風呂のタイルにお尻を乗せて体育座り。後ろのバスチェアに座るリヴァイさんの膝に後頭部を乗せて、さわさわ、もみもみ。頭皮を指の腹で撫でられるその心地よさに目を細めて思わず零した言葉に、上から私を見下ろしたリヴァイさんが私が目を開けてる事に気付いたのか1度手を止めてそう言った。・・・真剣な顔で私の髪の毛洗ってくれてるの見てたんだけど、閉じないと再開してくれなさそうだから大人しく「はぁい」って眼を閉じる。そうしたら間もなく再開される柔らかな刺激に、また溜息を着いた。きもちい。

頭皮から髪の先まで丁寧に指を滑らせて洗ってくれるリヴァイさんに、胸がぽかぽかする。そうしてシャワーでシャンプーを流す時も、「流すぞ」って声をかけてくれてからぬるま湯で流してくれる気遣いが嬉しい。しあわせ。そう思えば自然と顔がへにゃって緩んだ。・・・即座に「あんまだらしねェ顔すんな」って言われちゃったけど。でも別に今はリヴァイさんしかいないから気にしない。

そんな私の様子が気に喰わなかったのか、ぐいって1度髪の毛引っ張られちゃったけど。でも直ぐに「おら、終わりだ」って私の晒されたおでこをぺちって叩いたリヴァイさんに目を開けて頭を起こす。そうしてバスチェアから降りたリヴァイさんに代わって、今度は私がそこに座る。

そうしたらリヴァイさんは私と足と足の間に座って、私の両膝に自分の両腕を乗せて俯いた。そんなリヴァイさんの頭に私もまた「流しますね」って声をかけてからシャワーをかけて軽く手で洗う。そうしてからシャンプーを手の平に馴染ませて、リヴァイさんの頭にそれを馴染ませていく。さわさわ、もみもみ。リヴァイさんが私にしてくれるみたいに丁寧に、耳の後ろや襟足、こめかみに、後ろの髪の毛の生え際を順番に。

さわさわ、・・・ざり。もみもみ、ざりざり。・・・・・・ざりざり・・・ざり・・・・・・・・・ざりざ、「おい、刈り上げ部分を触るな。」
「あはは、ばれました?」

ジッと黙ってたリヴァイさんにいよいよ叱られちゃって「ごめんなさい」って謝ったけど、だってこれは触りたくなるもん。一緒にお風呂入る時はなんだかんだで毎回触ってるけど、その度にやめろって言われちゃうんだよなあ。そんなに嫌なのかな。・・・触るけど。そう、ひっそり思ってたんだけど、察したらしいリヴァイさんに太もも抓られた。い、嫌ってくらい扱かれた所為でそんなにぷよぷよはしてないんだけど・・・い、いやだなあ。なんか・・・リヴァイさん、私の嫌がる触り方心得てそう言う触りしてくるんだもん・・・「ご、ごめんなさい」謝れば、チラリ。少しだけ振り返ってニヤリって笑われた。ひ、酷い。仕返しにわしゃわしゃ!って髪の毛を撫でつけたら「おい!こらやめろ!」って言われたけど無視した。

最後にまたぬるま湯で・・・今度はちゃんと丁寧にシャンプーをしっかり流して、リヴァイさんの髪の毛を洗い終わった所で、バッ!って勢いよく立ちあがったリヴァイさんが無言のまま私の両脇に手を入れてそのまま私の身体を持ち上げ・・・ちょ、ちょちょ!!

「きゃぁっ?!」ばっしゃーん!!

湯船に思いっきり落とされた。か、完全にさっきの仕返しだ・・・!い、行き成りだった所為で飲み込んじゃったお湯が変な所に入ってげほげほ噎せてる私の横で、涼しい顔で湯船に足を入れるリヴァイさんを恨めしげに睨め付ける。睨め付けたのに、リヴァイさんの方は楽しげに笑って乱れた私の髪の毛を直すだけだ。そうしてびしょびしょになった私の顔を手の平で撫でて水滴を払うと、ふ。表情を緩めて「」って私を呼ぶ。

「ほら、来い。」

両腕と一緒に足まで開かれるとかぁって頬が熱を持ったけど、いそいそ。リヴァイさんがスペースを作ってくれたその足の間に背中を向けて収まる。そしたら私の脇の下から腕を通したリヴァイさんが、私のお腹の前で手を組む。・・・な、なんか。恋人っぽい。そう思い至ればくすぐったいような気持ちになるけど、ふー。込み上げた心地よさに思わず溜息を吐きだした。

そうしてリヴァイさんと今日あった事とか、明日の朝ごはんは何にしようとか、来週は誰と会うとか。そんな話をしてると、不意にふに、と。音もなく柔らかなものが項に触れて、びくっと震えた。・・・その、震えちゃった事が恥ずかしくってまた熱くなった頬を俯かせたら、後ろからクッて、かみ殺すみたいな笑いが聞こえてきて、ぶすっと振り返る。そしたらまたそれにリヴァイさんが困ったみたいに笑んで、ぐしゃって私の頭を撫でつけた。

「ぶさいくな顔すんな、構ってやりたくなるだろうが。」
「なんですかそれ、失礼な。」
「可愛いっつってんだ。」
「・・・・・・・・・」

しれっ。何気なくって感じに言われた言葉に、ジッとリヴァイさんを見る。そしたらさも不思議そうに・・・っていうか、実際不思議なんだと思う。「どうした?」って眉を寄せたリヴァイさんに1つ溜息を吐きだして、顔の向きを正面に直して深くリヴァイさんを背凭れに座りなおしてから、言う。

「・・・リヴァイさんってそういうとこありますよね!」
「何言ってんだお前。」
「天然タラシって事です。」
「おい、天然とか虫唾の走る事を言うな。俺は普通だ。」
「・・・はは。」

取り敢えず笑っておいた。そしたら「生意気な口はこの口か?」って頬抓られちゃって即座に謝ったけど。すりすり。抓られた頬を撫で摩っていると、不意にリヴァイさんが「それにな、よ。」って。私の頬を撫でてる手の内側に自分の手を滑らせて、そうして私の頬に触れてす、と。その手で私の首を気持ち後ろに向けてから、言う。

「俺がたらし込もうとしてんのはお前だけだ。」

普段よりも気持ち低い、ちょっと色っぽい声だった。それに、「・・・・・・・・・ふっ、」吹き出した。

「ふ、・・・く、ふはっ・・・あはは、あはっ」
「ッ、っめだ、自分で言っててクせェ・・・」

私と同じようなタイミングで、リヴァイさんもまた堪え切れないって感じで肩を震わせて私の肩口に額を乗せた。そんなリヴァイさんに「じ、自分で言って、わ、笑わないで下さいよっ・・・ふっ、ふふ」って、(私も言いながら笑い止まらなかったけど)言えば、「いや・・よく、自分でも言えたもんだと・・・くっ」って耐えるリヴァイさんがまた面白くって笑った。

そうしてひとしきり笑い通して、だけど不意にリヴァイさんの顔が近付いた。それにぱっと眼を閉じれば、間もなく落ちてきた唇にまどろむ。触れて、そうして直ぐに離れて行った唇に、今度は私の方からリヴァイさんのそれに触れさせた。だけど首を後ろに向けてる体勢も辛いから、身体の向きをリヴァイさんの方に向け直す。そうして服の上からじゃ分かりにくい、細身なのに逞しい肩に両手を乗せる。

ちゅ、ちゅっ。ただ触れあうだけだけど、気持ちいい。なんか・・・幸せだなあって思える。恥ずかしいんだけど、なんか、ほっとする。その感覚が心地よくて、もっとって強請るようにリヴァイさんの髪の毛をちょんって引っ張ったら、後頭部に手を回してリヴァイさんからも唇を落としてくれた。きもちい。
それから暫く唇を触れ合せたり、指を絡めたり。そんな軽い触れ合いを繰り返してる内に、もう身体はぽかぽかにあったまってて。さら。頬から髪までを撫でたリヴァイさんの「上がるか」って言葉に「はい。」頷いた。

そうしてお風呂を出て身体を拭いて、着替えて、ぱたぱた髪の毛を拭いたりしている最中。キッチンでプシュッて缶ビールのプルタブを開けてそれを呷るリヴァイさんをぼんやり眺めてたら、さっきの言葉を思い出した。・・・で。

「・・・お前だけだ。」
「ッ、ぐ!げほっやめろ!」

リヴァイさんがビールを喉に流しているタイミングを見計らって、ちょっと私も低い声で言ってみたら変な所に入ったのか咳き込んだリヴァイさんが私を睨め付けた。のを見て、「ふッ」また吹き出した。だ、だめだ・・・本当、リヴァイさんって普段真面目っていうか、無愛想って言うか・・・兎に角冗談なんて言わなそうな顔してるから、不意にああいう冗談言われると・・・ふ、ふふっ

「暫くこのネタで笑えそうです・・・」
「お前絶対外で言うなよ。」
「・・・・・・・・・」
「おい、無言で悶えんな。絶対言うなよ。」
「い、言わないですよっ、あ、あんな・・・ふっ、恥ずかしい事。」

そう言った私にリヴァイさんはリヴァイさんで「恥ずかしいとはなんだ、失礼な奴だな」って反論して来たけど、自分も笑ってるから説得力なんてものは勿論無い。口元を押さえて笑うリヴァイさんは缶ビールをリビングにあるソファーの前にあるテーブルに置くと、ドライヤーを持ってきてそのコンセントを挿す。そうしてそのままドカッとソファーに座ると、だけどどうしてか私をちょいちょいって人差し指で手招きをした。「、」

「サービスだ。髪乾かしてやるから此処座れ。」

言うと、リヴァイさんはドライヤー片手にトンっと足で床を蹴る。そんなリヴァイさんにきょとんとして、でもそのご機嫌な様子に、迷いなくソファーに座るリヴァイさんの前。ラグの敷かれた床に座る。そうして温かい風と一緒に、リヴァイさんの指先が私の髪をさらっと流す心地よさに目を伏せる。「・・・しあわせだなあ。」ぽろり。零れた言葉に、リヴァイさんの手が、また優しく私を撫でた。
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